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2011年12月

2011年12月29日 (木)

虚構のシナリオ

勝手に作った「冷温停止状態」の定義で首相は「事故収束宣言」。
避難区域の再編方針(年間20msv未満で「避難指示解除準備区域」だって?)。
真相解明にはほど遠い(期待していないが)政府事故調査・検証委員会の中間報告。
放射能汚染へのまともな取り組みもないまま、「虚構のシナリオ」だけが作られていきます。

新聞はこうした発表を伝えるだけだし、テレビときたら…。

会津若松市のB書店では震災・原発の特設コーナーはなくなっていました。
文芸誌の棚で見つけたのがこれです。
Sights

『SIGHT 2012 WINTER』(ロッキング・オン・ジャパン 2012年1月増刊号)(ロッキング・オン,2011年12月14日発売)

[総力特集]
●原発報道を終わらせようとしているのは誰だ
  ◇桜井勝延(南相馬市長)
    なぜ「当事者」以外は誰も原発被害に対して
    適切な手を打たないのか、打てないのか
  ◇山田真(小児科医・八王子中央診療所理事長)
    なぜ国は、福島を事実上見捨てているのか
  ◇山内知也(神戸大学大学院海事科学研究科教授)
    なぜ行政は、放射能を測ってデータ化しないのか
  ◇田中三彦(翻訳家/サイエンスライター)
    政府・東電はなぜ、事故の原因を「地震ではなく津波」と限定するのか
  ◇藤原帰一(国際政治学者/東京大学法学部・同大学院法学政治学研究科教授)
    なぜ、日本では正しいリスク管理が機能しないのか
  ◇古賀茂明(元経済産業省大臣官房付)
    放射能は測らない、報道しない、現実は知らせない―
    行政と東電とメディアは、なぜこれだけのことが起きても変わらないのか
  ◇上杉隆(ジャーナリスト/自由報道協会代表)
    なぜ日本のメディアは「こんな事態を経ても」正しい報道ができないのか
 [総論対談]
   内田樹(哲学者・神戸女学院大学名誉教授/武道家・凱風館館長)×
   高橋源一郎(文芸評論家/作家/明治学院大学教授)

([第2特集]以下は略)

特集冒頭の、編集・発行人=渋谷陽一氏のメッセージです。

 結局、日本は、我々は、今回の震災と原発事故から何も学ばなかったのではないか、という気持ちになってしまう。
 多くの日本国民は、原発事故は収束に向かって進み、徐々に事態は改善されてると思っているのではないか。原発に関する報道は少なくなり、メディアの論調は過去の事故について語るような調子になってきている。
 しかし現実はまったく違っている。原発事故は終わっていない。事態は深刻なまま放置され、なんの手も打たれないままもっと深刻な事態へ進もうとしている。
 問題は多様だ。考えなければならないことが無数にある。変な表現だが、その問題の多様さと巨大さを、原発報道を終わらせようとしている側は利用し、事態を曖昧にさせている。そこで本誌は、テーマを絞り込み、何がなんでも緊急に向き合わなければならない問題を大きくふたつ設定した。ひとつは福島の危険な場所に住む人たちの安全をどう考えるか、ということ。もうひとつは今動いている原発をどうするか、ということである。
 この特集の、山田真さんと山内知也さんのインタヴューを読んでいただけばわかるように、今の福島には、住むにはあまりにもリスクが高すぎる地域がある。特にそこに住む子どもと妊婦は、とても見過ごすことのできない危険にさらされている。しかし、その深刻な事態は報道されず、政府はおざなりな対応しかしていない。山田さんの話は、読んでいると小さな子を持つ親でなくても怒りに震えてくるようなことばかりだ。特集のトップに登場していただいた南相馬市の桜井市長が言われるように、そこに住む人たちにはそこに住む権利があり、除染を国や東電に要求する権利を持っている。しかし、それでも危険は危険として存在する。古賀茂明さんが指摘するように、国や東電は土下座してでも住民の方に移住をお願いするしかないのだ。
 ところが今の日本で行われているのはまったく逆のことだ。福島を忘れ、福島の住民の犠牲の上に、この事態をやりすごそうとしている。政府や東電は言うまでもなく、メディアの責任も大きい。
 それから、今回事故を起こした、「マークⅠ型」といわれる古い原発の原子炉格納容器の問題がある。田中三彦さんが指摘しているように、この原発は一種の欠陥商品といってもいいものであり、地震にとても弱い。これが地震国日本に存在しているのは、とても危険である。特に、この30年以内に大地震が起きると予測されている東海地方にそれがあるのは、あまりにも危険すぎる。静岡の浜岡原発はこの「マークⅠ型」で、現在は止まっているが再開の動きもある。我々は福島の現実を体験しながら、何も学習せずに同じ過ちをくり返そうとしている。僕は原発はなくすべきだと思うが、その根本の議論の前に、まず危険な原発を止めるという、最低の、そして緊急のリスク対策を講じるべきである。
 本来、この問題は日本の抱える緊急の問題として国民的に共有され、すぐにでも対策がとられなければならない。ところが国はまったく動かず、というか動いているふりをしながらどんどん問題の本質から逃げて行き、メディアはまるで申し合わせたように、もっとも重要なテーマを避け、本質を見ないように、見えないように原発に関する報道を続けている。
 言うまでもないが、逃げても何も解決しない。そのツケを払うのは我々自身だ。そしてそのツケは、自分や家族、同じ国に住む人たちの命や健康を脅かすのだ。

まったく同感。
敵は巨大で、問題は複雑だけど、負けてはいけない。


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2011年12月11日 (日)

9ヵ月

福島原発事故発生から9ヵ月です。
《原発事故に関する書籍》のリストに次の10冊を追加しました。

天笠啓祐著『知っていますか?脱原発一問一答』(解放出版社,2011.12) 税込1260円
[目次]
第1部 原発と放射能(福島第一原発で、何が起きたのですか?;原発とはどんなものですか? ほか);第2部 核燃料サイクルと核のゴミ問題(放射能のゴミは処理できないって本当ですか?;核燃料はリサイクルするので、安くて環境に良いのではないですか? ほか);第3部 原発は差別の体系(なぜ原爆で被爆者差別が起きたのですか?;原発事故でも同様の差別が起きているのでしょうか? ほか);第4部 脱原発とは(なぜ、これほど多くの原発が設置されたのですか?原発が推進されてきた理由は何ですか?;脱原発とは何ですか? ほか)

井上薫著『原発賠償の行方』(新潮新書)(新潮社,2011.11) 税込714円
[内容]
法律も枠組みも決まったから賠償は粛々と進行する…なんて思ったら大間違い。福島第一原発事故の賠償は、建国以来最大の法律問題であり、そう簡単に事は進まない。今後、全国民にツケが回されること必至。外国からの賠償請求額は想像もつかない。なぜこんなことになったのか。法律無視の政府と安全神話を盲信した専門家の責任を厳しく糾し、採るべき道を探る。法律家の目で論点を冷静に整理、検討した独自の論考。
[目次]
第1章 日本最大の法律問題が登場した;第2章 損害とは何か;第3章 東京電力は「有罪」確定か;第4章 法律的検討をする;第5章 賠償の実際を考える;第6章 福島の教訓を考える

海渡雄一著『原発訴訟』(岩波新書)(岩波書店,2011.11) 税込861円
[目次]
第1章 原発の安全性を問う(行政訴訟の枠組み―伊方最高裁判決の意義;矛盾に気づき始めた裁判官たち;初の原告勝利判決―もんじゅ控訴審判決;逆転敗訴のもんじゅ最高裁判決;もう一つの勝利判決―滋賀原発2号炉金沢地裁判決);第2章 原発は大地震に耐えられるか(浜岡原発訴訟―静岡地裁判決までの経緯;最高裁のダブルスタンダード―柏崎原発訴訟;核燃料リサイクル施設の危険性―青森県六ヶ所村;地震/活断層と各地の原発);第3章 福島原発事故と東京電力(東京電力の危険な“体質”;本当に「想定外」だったのか;被災者のための損害賠償);第4章 被曝した労働者、住民たち(原発と労災;東海村JCO臨界事故・健康被害裁判;被曝住民と労働者の権利確立を);終章 脱原発のための法的課題―福島原発事故を最後とするために(司法の失敗;原子力安全行政をどう改革するか;脱原子力へ―いま、すべきこと)

鎌田慧/編『さようなら原発』(岩波ブックレット)(岩波書店,2011.12) 税込588円
[内容]
真に原発を止めるまで、人びとの大きな連帯を! 大江健三郎・澤地久枝・鎌田慧各氏ら9人が呼びかけた1000万人署名運動は大きな共感をよび、東京では「さようなら原発」6万人集会が実現した。そのはちきれんばかりの思いと人間の存在をかけた発言の全記録。政府・電力会社には決して譲らぬ市民の拠点がここにある!

河野太郎著『原発と日本はこうなる』(講談社,2011.11) 税込1260円
[目次]
第1章 原発事故の裏で;第2章 「原子力村」に蠢く住人;第3章 亡国の核燃料サイクル;第4章 救国のエネルギー政策;第5章 日本が世界を救う新エネルギー;終章 二〇三〇年の日本

後藤政志著『「原発をつくった」から言えること』(わが子からはじまるクレヨンハウス・ブックレット 003)(クレヨンハウス,2011.12) 税込525円
[目次]
はじめに 「原発をつくった」責任をあらためて感じて 第1章 いま、学び直したい原発の基礎知識 第2章 次々と露呈した“原子力安全”の嘘 第3章 いのちを第一に考えた技術のあり方

西尾幹二著『平和主義ではない「脱原発」』(文藝春秋,2011.12) 税込1575円
[目次]
第1章 最初の感想;第2章 原子力安全・保安院の「未必の故意」;第3章 「脱原発」こそ国家永続の道;第4章 原発は戦後平和主義の象徴;第5章 平和主義ではない「脱原発」;第6章 あらためて保守に問う原発か脱原発か;第7章 現代リスク文明論―原発事故という異相社会

広瀬隆/編著 保田行雄/編著 明石昇二郎/編著『福島原発事故の「犯罪」を裁く』(宝島社,2011.12) 税込600円
[目次]
第1章 東京電力&監督官庁&御用学者を「刑事告発」する方法―「刑事告発」&「刑事告訴」でフクシマ原発震災の不正を糾せ!(告発の趣旨;事故の発生 ほか);第2章 緊急対談 東京電力の詐欺的な「補償金制度」に騙されるな!―日本中に拡大する放射能汚染、被曝被害についてはいっさい無視!(「ご被害者のみなさま」と慇懃に詫びても加害責任は頑として認めない東電・西澤社長;東電の「法的責任」を曖昧にさせないための「刑事告発」 ほか);第3章 Q&A方式 東電に賠償請求したい貴方のための「賠償請求心得」―福島県の被災者から東京の一時避難者まで…カネは満額支払ってもらうべきだ!(福島原発の事故では、どのような費用が賠償請求の対象となるのでしょうか?;被曝による精神的苦痛に対する賠償請求はできますか? ほか);第4章 全国会議員必読!賠償されない人たちを救うとっておきの方法―米国流集団訴訟制度「クラスアクション」を導入せよ!(あのJCO事故でも「住民被曝」は無視されていた;「村には被曝による被害者など誰もいない」? ほか)

福島県九条の会/編『福島は訴える 「くらし」「子育て」「なりわい」を原発に破壊された私たちの願いと闘い』(かもがわ出版,2011.11) 税込1680円
[目次]
プロローグ 「安全神話」の果てに(原発密集地帯―福島県「浜通り」;原発“巨大人災”の輪郭 ほか);第1部 「くらし」と「子育て」の破壊(30キロ圏からの報告;戦時の記憶とふる里喪失 ほか);第2部 「なリわい」の破壊(福島からフクシマ、そしてFUKUSHIMAへ;営々と築き上げた農業を壊されてたまるか ほか);第3部 自治体の対応と除染に向けた住民の取り組み(突然の震災に遭遇して;「村」の復興を人と生活の再生に結びつけられるか ほか);エピローグ 原発災害と地域社会(大震災からの「復興」をめぐる対抗軸;原発の成り立ち ほか)

山田真著『小児科医が診た放射能と子どもたち』(わが子からはじまるクレヨンハウス・ブックレット 004)(クレヨンハウス,2011.12) 税込525円
[目次]
第1章 福島で健康相談をして、見えてきたこと;第2章 放射能への不安を口にできない雰囲気の広がり;第3章 低線量被ばく、内部被ばくの専門家はいない;第4章 これから、わたしたちにできること;第5章 Q&A質疑応答


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